《ぼく》は日光にあたりながら干されることの心地よさを体感し、布団を取り込む際に母親に布団叩きでパンパンと叩かれることの、このうえもない快感に感激します(笑笑)
夜になっても、夜中になっても息子が帰って来ないので、家族は??となりますが、どうせ友人の家にでも泊まっているのだろうと気にもしません。
翌朝も快晴で、母親は息子の布団をまた干します。《ぼく》はまたもや、ゆるゆるとした安寧な気持ちになりますが、同時にこのまま布団として生きていかなければならないのかという不安を抱きます。ですが、やわらかな陽光の心地よさにはかなわず、
〈干されて陽に当たるのがこんなに心地いいなら、布団のままでもいいかもな・・・〉
などといった、お気楽な思考をしてしまうのでした。
息子は依然として帰って来ず、心配になった家族は警察に捜索届けをだします。ですが、もちろん息子は帰ってきません。というか、息子(になった布団)は実際にはそばにいるし、母親にいたっては、いつ息子が帰って来てもいいようにと、毎日布団を干しているので、毎日息子に触れてさえいるのですが、それに気がつくはずもありません(#´Д`#)
泣きながら布団になった自分を干す母親を見て、《ぼく》はさすがにお気楽な気持ちにはなれなくなります。
そんなとき、にわか雨が降りだします。ですが、悲嘆に暮れた母親はそれに気づきません。《ぼく》はずぶ濡れになります。
しばらくして母親が雨に気づき、畳の上に敷いたビニールシートの上に《ぼく》を取り込みます。ずぶ濡れになった布団を見て、母親は声をあげて泣きます。
「ごめんね、ごめんね・・・」
布団が息子であることなど知るはずもないのに、母親は息子の布団をびしょびしょに濡らしてしまったことに、それが悪い暗示となったのではないか、このせいで息子はもう二度と戻って来ないのではないか・・・という不安に駆られ、絶望感に襲われて激しく泣いたのでした。
母親のそんな姿を見て《ぼく》も泣きます。
「おかあさん、ごめんなさい・・・。心配させて、泣かせてしまって、ごめんなさい・・・」
声にはなりませんが、何度も何度も母親に謝りながら、《ぼく》はずっと泣き続けました。そして、いつしか意識が消えていきました。
気がつくと《ぼく》はずぶ濡れの布団のなかで、自身もずぶ濡れになって元の人間の姿で、そこにいました。
セ
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