※『ビルマ戦線』ビルマは1989年にミャンマーという国名に改名。イギリス領となっていたビルマをめぐって、日本・ビルマ・インド VS イギリス・アメリカ・中国の戦い。1941年〜1945年)
「寝台の下に潜っていろ」
と、隠れさせてくれたおかげで、所属していた中隊で唯一の生存者になれたのだそうです。
今泉さんは戦後に仕事で成功し、1974年に戦友の遺骨を弔うためにミャンマーを再訪します。その際、戦没者を心から悼む現地の人々に心を打たれます。
「なぜ我々に良くしてくれるのですか?」
そう訪ねると、
「当然のことです。我々は子供の頃から、『幸せの神は東から来る』と親から教えられてきました。その《幸せの神》とは日本人だったのです。
あなた方は知らないかもしれないが、我々はイギリス軍に植民地化され、じつにひどい目にあわされてきました。その支配を日本軍が終わらせてくれたおかげで、やっと人間的な生活が送れるようなりました。ですから、感謝せずにはいられないのです」
今泉さんは現地の人々のその気持ちに何か応えたいと考え、前述の奨学会を設立し、長年に渡る支援をつづけてきたのでした。
「かけた情けは水に流し、受けた恩は心に刻む」
今泉さんはいつもこのメッセージを伝えているそうです。そんな今泉さんは、自身がしている支援を、
「私の受けた恩恵からしたら、支援は万分の一でしかない」
と、謙虚におっしゃいます。
今泉さんと、支援をしてきた奨学生たち。